退職時の健康保険の手続き 任意継続と国民健康保険のどちらにする?
2017/04/17
退職しようと決断したが、退職の際に健康保険の切替手続きはどうすればよいのかと思っていませんか。
実は国民健康保険に切り替える以外にも選択肢があります。
そこで本記事では、健康保険の切替手続きについてご紹介させていただきます。
退職にあたっての健康保険の手続きは?
まずは、健康保険の概要からご紹介いたします。
(1)健康保険の概要
健康保険には、以下の種類があります。
- 全国健康保険協会(協会けんぽ)
- 健康保険組合(組合健保)
- 国民健康保険
- 各種共済組合
- 後期高齢者医療制度
- 全国健康保険協会(協会けんぽ)
- 健康保険組合(組合健保)
- 国民健康保険
- 各種共済組合
- 後期高齢者医療制度
主に中小企業の従業員と家族を対象にしています。
(補足)
以前は、 社会保険庁が政府管掌健康保険(旧政管健保)を運営していました。しかし、2008年10月に全国健康保険協会に移管して、全国健康保険協会管掌健康保険(協会けんぽ)になっています。
主に大手企業や関連会社の従業員とその家族が加入する健康保険です。
各市町村が運営しており、自営業者、無職の方など、その他の医療保険制度に属さない人全てが対象になっています。
国家公務員、地方公務員、および、私学の教職員が対象です。
原則として75歳以上の高齢者が対象です。
(2)退職時の健康保険の切替の選択肢
会社を退職してから次の就職先がまだ決まっていない場合には、健康保険の手続きとして以下のいずれかを選択することが可能です。
- 国民健康保険に加入する。
- 前の会社の健康保険組合や全国健康保険協会(協会けんぽ)に任意継続として、引き続き加入する。
- 家族のどなたかが加入している健康保険に被扶養者として加入する。
家族が加入している健康保険に被扶養者として加入することが可能なら、そちらでご検討ください。
そうでなければ、
・国民健康保険に加入する
・健康保険を任意継続する
のどちらが有利か、という検討になります。
健康保険の任意継続という選択
(1)任意継続とは
会社員として働いて、退職後の次の会社が決まっておらず当面は就職活動を行うとか、しばらく療養するなどで一旦、無職になる場合は、国民健康保険に加入することになります。
また、国民健康保険に加入する代わりにそれまで加入していた健康保険に最大2年間、引き続き加入し続けることも可能です。
それを任意継続といいます。
任意継続は、世帯全体に対して保険料を払います。
つまり、妻などの扶養家族についても年収などの条件を満たせば保険証を発行してもらうことができ、追加の保険料がかかりません。
(例)
妻の年収が130万円未満であれば妻も扶養家族として任意継続で加入ができる、など。
毎月支払う保険料は健康保険組合(組合健保)と全国健康保険協会(協会けんぽ)のそれぞれで異なります。保険料については、次の章で記載します。
(2)任意継続の注意点
任意継続は、退職して20日以内に手続きをしないと受付されません。
なお在職中でも手続きが可能ですので、なるべく早めに手続きをされることをお奨めします。
ちなみに、健康保険の任意継続の手続き中に病気をした場合ですが、その病院によって対応が違います。
「自費で一旦、全額負担して後日に健康保険から保険負担分をもらってください。」と言われるところと、「後日に健康保険証を持ってきてください。」と言われて保険診療を受けられる場合があります。
なお、任意継続はやっぱり家族の健康保険の扶養になる、国民健康保険に入る、などの理由で途中で脱退することはできない、と規定されていることが多いので注意してください。
原則、2年間の期間の途中で脱退はできません。但し再就職して、そこの健康保険に入った時は可能です。
また、任意継続を希望する健康保険に継続してxx月以上、加入していること、などといった要件が、協会けんぽ、健康保険組合(組合健保)のそれぞれで定められています。
任意継続と国民健康保険のどちらを選ぶ?
任意継続は、扶養している家族が多いほど有利となります。扶養家族が何人いても、支払う保険料が同じだからです。
会社の福利厚生を継続して利用できる場合もあります。
それに対して、国民健康保険は扶養という考えがないので、その世帯での加入者数が多いほど保険料が増えます。
国民健康保険と任意継続のいずれが有利か、保険料の金額を比較してみることをお薦めします。
(1)国民健康保険の保険料
国民健康保険の保険料は各市町村で算出方法が異なります。加入する予定の家族の人数を指定すれば、市町村役場の国民健康保険の担当部署で計算してもらうことが可能です。
(2)組合健保を任意継続した場合
健康保険組合(組合健保)を任意継続した場合、毎月の保険料支払額は目安として、給与明細にある、健康保険料の2倍になると考えます。
在職中は、会社側が一定の割合で保険料を負担してくれていましたが、退職後は全額ご自分で負担することになります。組合健保によって、負担比率が異なりますが、目安としてはそれまでの2倍になると考えます。
退職後の健康保険料の見込み額は会社か健康保険組合に確認すればわかります。
(3)協会けんぽを任意継続した場合
全国健康保険協会(協会けんぽ)を任意継続した場合、保険料は退職時の標準月額報酬に、各都道府県ごとに決められた税率を掛けたものになります。
全国健康保険協会のホームページに各都道府県ごとの任意継続被保険者の方の健康保険料額が掲載されています。
まとめ
退職したら国民健康保険に切替える代わりに任意継続する、または、家族の健康保険の扶養になることも可能であることをご紹介しました。
任意継続の場合は、それまで加入していた健康保険に最大2年間、引き続き加入し続けることが可能ですが、退職後20日以内に手続きしないと受付されませんので、なるべく早めに手続きされることをお奨めします。
ご参考にしていただけましたら幸いです。